相手に伝えること、ちゃんとできてますか?
自分にしか見えない病
メッセージを「相手に伝える」ときに大事なのは「自分が重要だと思っていること、言いたいこと」をどうやってうまく伝えるか、ということではありません。
相手にとって「伝えられることが期待されている”メッセージ”」になっていることが大事です。
例えば、織田信長の育ての親だった平手政秀は「兵を金で雇う」ことの問題を織田信長に何度も諫言していますが、これは織田信長が期待していたメッセージではありませんでした。
あくまで「平手政秀が自分の価値観で重要だと考えていること」だったのです。
おそらく織田信長は、何度も平手政秀に自分の考えとその先に描いているビジョンを伝えたと思いますが、それでも変わらなかった平手政秀を切腹させています。
相手に伝えるべきメッセージ
メッセージとは、「課題」「答え」「相手に期待する反応」の3つがセットになっているものです。
課題を確認する
必要とするコミュニケーションにおいて自分が相手に応えるべき課題は何か、を確認することが大事です。
調べるうちに「元の課題」とは違う新たな課題が出てくるものですが、そちらに情熱を傾けてしまうと伝えるべきメッセージが変わってしまうので要注意です。
自分にとっては新しい課題が「至急」であっても、相手にとって同じようなものとは限らないからです。
課題について「共通認識」を作ることが大事です。
相手に期待する反応を確認する
課題に対して答えを伝えた後、相手にどのような反応を期待するかも考えることが重要です。
反応は大きく3つあります。
「理解してもらう」「意見してもらう」「行動してもらう」どの反応を得たいのかはっきりさせておくことが、良いメッセージの条件です。
織田信長が「兵を金で雇う」ことを家臣たちに伝えることがあったとしたら、次のように伝えていたのではないでしょうか。
理解してもらうために
「百姓兵の割合が今までは9割、専業兵が1割だった。これでは種まきや収穫時期には戦ができない。(課題)なので、我が群は金で兵を雇う。(答え)」
意見をもらうため
「兵を金で雇う方針を固めたが、今よりもっと金を稼ぎたい。(課題)楽市楽座を実施したいがどう思うか?(意見を求める)」
行動してもらうため
「兵を金で雇っているから年中戦が出来る。だが専業兵が領地を治めていると戦が制限される。(課題)城下町に常時住んでもらいたい。(行動を求める)」
まとめ
メッセージを相手に伝える、ということを私達は「どういう表現が一番伝わりやすいか」と考えてしまいがちですが、「課題に対してこの答えがあるから反応して欲しい」というものがメッセージです。
自分が一番伝えたいこと、重要だと思っていることがメッセージではありません。
メッセージを伝える達人だったスティーブ・ジョブズは、最初にiPhoneを発表したとき、「それまでの携帯電話」の課題を明確にし、その答えとしてiPhoneを発表し、世界に理解してもらいました。
これがまさに「メッセージ」ですね。